記事一覧

ギリシヤはデフォルトしてユーロを離脱した方がよい

ギリシャが簡単に助けられることになれば、ポルトガルやイタリアも「自分も助けてくれるだろう」と思って安心してしまうことだろう。こういう事態をモラルハザード(危機意識の低下)というが、これは何としても避けたいところだ。そこでドイツはギリシャ国民に対して「節約に努めて国の支出を急激に落とせ。そうしないと助けてやらないぞ」と脅すことになる。でも、これはいわばキリギリスに対して「アリになれ」といっているようなもので、現実的には非常に困難である。不可能に近いといってもよいかもしれない。こういうことを無理強いさせようというのが、ドイツ人の頭の固いところだ。

では、ギリシャの側からはどういう対応が可能だろうか?一つは、ドイツの命令を守って忠実に実行していく、というものだ。緊縮財政を続け、倹約に努めて財政状況を改善させながら、ドイツからも債権の減免などの措置をしてもらって、徐々に危機から脱する、というシナリオだ。これがまさに今までギリシャかたどってきた道だ。しかし、鍵を握るドイツがアンビバレントな態度を取り続けるので、問題が一向に解決しない。「ギリシャをあまり簡単に助けてはいけない、でも助けないわけにはいかない。そのあんばいが問題だ」などとドイツがハムレットのように悩んで問題の先送りをしている間に泥沼に入ってしまった感がある。

ギリシャ国内でも不満が表面化している。まず増税の評判が非常に悪い(当然であろう)。そして公務員改革の難しさがある。財政状況を改善するには、過度に膨らんでしまった公務員の既得権に切り込んでいくことが必要である。しかしそれは非常に困難だ。ギリシャのもう一つの選択肢は「この際、ドイツーフランスのグループから離れてロシアとか中国とかと仲良くやっていこう」という決断をする、というものだ。仮に中国から「ウチはカネがふんだんにあるから、ケチな親分(ドイツ)から離れてウチの子分にならないか?」などと言われたらどうだろう? ギリシャ人の心がちょっとは動くかもしれない。今のままでは将来への展望も持ちにくいし。

しかしその可能性はまずないだろう。それにドイツやフランスとしてはそんな動きは最悪の展開といえる。せっかくソ連の崩壊後に東ヨーロッパの共産国が民主化して、ヨーロッパ全体が仲良くやっていこうということになったのに、その揺り戻しがあったらまずい。なのでドイツやフランスはそのような動きは絶対許さない、ということになる。ギリシヤとしても、今のように豊かな国になったのは自由主義体制のおかげだから、よほどの理由がない限り、そんな誘いには乗らないだろう。

そこで、私か最も確率が高いと考えるシナリオは、こういうものだ。「ギリシャはユーロを離脱し、デフォルト(債務不履行)する。しかしほかの国々、特にイタリアとスペインは守られる」デフォルトという言葉は刺激的だ。仮にも先進国がデフォルトする、なんてありえない、この世の終わりだ!そうお考えの方も多いことだろう。しかしギリシヤの今の状況、そしてドイツやそのほかヨーロッパ諸国の対応を見ていると、結局はデフォルトという可能性が一番高い、というふうに私は見ている。また、それが結局ギリシヤにとっても良い解決だと考える。