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社内失業者の実態

年代別にみると、20代ではまだ年齢、勤続、学歴などで決まる部分の割合が他の年代に比較して高い。職務遂行能力で決まる部分については、30代が最も割合として高く、職務、仕事内容で決まる部分についても30代がもっとも高い。一方で、管理職が多い年代ともいえる40代では、役割で決まる部分の割合が高くなっている。(独立行政法人 労働政策研究・研修機構「今後の企業経営と賃金のあり方に関する調査」)サラリーマンの多くは、20代のうちは給与で大した差が付かない横並びである。しかし、30代、40代になると経験値の差がボディブローのように効いてきて、大きな差が開いてしまう。

仕事がないことから能力を高めることができず、結果出世できない社内失業者は、この調査が指摘するような「20代」仕事をして経験値を高めるという昇給プロセスを踏むことができず、給与が低く抑えられてしまう。年を取れば給与が増えた過去の年功序列の時代とは違い、今は賃金を上昇させるためには成果を上げ、出世していかなければならない。だが、そもそも担当の業務を持たず、業績を上げるのが難しい社内失業者にとって、昇給していくことは極めて難しいことなのだ。結婚、出産、育児、教育、保険、住宅、老後。年齢が上がれば、必要なお金の額もどんどん上がっていく。しかし、給与は上がっていかない。そんな10年後、20年後の彼らを考えてみてほしい。

これは、決して非正規や失業で苦しんでいる人達の話ではない。高い学費を払って大学を卒業し、企業に入社し雇用されている正社員の話だ。保護され、安泰だと言われ続けてきた正社員が、このような状況に追い込まれているのである。桐谷和也(28歳)さんは、都内のメーカーの人事部で働く正社員だ。彼が所属しているのは小さな会社ではなく、従業員数千人を擁する準大手であることを念頭に置いて、以下の証言を見ていただきたい。「今の給料ですか? 手取りで言うと16万円ぐらい。『なんか今月は多いな』つて思う月は、交通費が振込まれてるときです。業績不振で、ボーナスもありません。一番出たときでO・3ヵ月ですね。入社してからずっとそんなものですよ。

都内在住で一人暮らしをすれば、ワンルームでも家賃は7万円はかかりますよね。手取り16万円だと、半分くらいが家賃で消えていきます。社会人ですから飲みに行くこともありますし、ガス・電気・水道なんかの最低限の生活インフラを考えれば、節約しても切り詰めても、手元に残るお金はいくばくもありません。この給料じゃ将来結婚もできませんよ。人事部にきて、自分がこの会社にいて将来的にどのくらい給料が上がっていくのかが分かったんですよ。異動してきて3ヵ月目ぐらいに、『これはヤバイー』って思いました。この先、上がらないなって。新卒で入社して6年目ですが、今まで結局3000円しか昇給してませんからね。

うちの会社は、給与体系が業務評価と業績評価に分かれてまして、それぞれ10段階評価なんです。人事部のような管理系の部署だと、仕事がなくても業務評価は6とか、7とか、まあまあな数字をもらえるんですが、業績評価は会社の業績に連動するので、最近の景気の影響もあって、低いですよ。結局、総合評価だと5でした。昇給するには8以上取らないといけないんですが、逆に3以下になると警告状が来ます。まだ警告状を受け取ったことはないんですが、そろそろ危ないかもしれないですね。僕らの世代は、将来受け取れる年金もどんどん減るって言うじゃないですか。こんな給料で、ちゃんと老後まで生きていけるのか。そんな不安でいっぱいですよ。